自然治癒力と健康経営
30年近く前に買った本ですが、今でも時折ページをめくり自らの生活習慣を見直すきっかけにしています3冊の本があります(結果あまり見直せてませんが)。
いずれも統合医学のオピニオンリーダーであるアンドルー・ワイル博士の著者で「自然治癒」や「代替療法」に関する書籍です。表紙はやや色あせているものの、その内容は今読み返しても示唆に富んでいます。
これらの本に共通しているのは、「人間が本来持っている治す力=自然治癒力」に着目している点です。食生活や生活習慣、ストレスとの向き合い方など、日々の積み重ねが健康に大きく影響するという考え方は、現在の健康経営や予防医療の考え方にも通じるものがあります。
特に印象的だったのは、著者の次のような指摘です。 「現代医学に治せない病気を現代医学の医師に診せるべからず。現代医学が得意とする病気で代替療法の治療家を頼るべからず。」
やや強い表現ではありますが、本質的には「適切な領域で適切な手段を選ぶべき」というメッセージと受け取ることができます。つまり、万能な医療は存在せず、それぞれの特性を理解したうえで選択することが重要だということです。
現代医療は、急性期医療や外科的処置、感染症対応などにおいて極めて高い成果を上げています。一方で、慢性的な不調や生活習慣病、ストレス起因の症状などについては、薬や治療だけでは十分に対応しきれないケースも少なくありません。こうした領域において、生活習慣の見直しや代替的なアプローチが有効に機能する余地があります。
もっとも、代替療法については科学的根拠が十分でないものも含まれるため、無批判に受け入れることは避けるべきです。重要なのは、「何を信じるか」ではなく、「自分の状態に対して何が合理的か」を冷静に判断する視点です。
この考え方は、企業における健康経営にも通じるのではないでしょうか。
健康経営というと、健康診断の実施、長時間労働の是正、メンタルヘルス対策、休職・復職制度の整備などがまず思い浮かびます。もちろん、これらは極めて重要です。
しかし、本来の健康経営は、体調を崩した人への対応だけではなく、不調を未然に防ぐ視点まで含むものだと思います。睡眠不足、偏った食生活、慢性的な疲労、過度なストレスといった日々の小さな積み重ねが、やがて生産性の低下や休職、離職につながることは少なくありません。
つまり、企業にとって従業員の健康は単なる福利厚生の問題ではなく、重要な経営資源です。制度を整えることに加えて、一人ひとりが生活習慣を見直す意識を持てる環境をつくることも、健康経営の大切な要素だと言えるでしょう。
「治す」のは医療だけではありません。日々の習慣そのものが、最も基本的な“治療”でもあります。
古い本を読み返しながら、改めてそう感じました。健康経営を考えるうえでも、まずは自分自身の生活習慣を見直すことから始めてみる――そんな視点も大切なのではないでしょうか。
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